[神奈川県消団連] 原発事故被害者に、安心して健康に生きる権利と知る権利の保障を

2019年05月28日

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 小林 正明

私たちは、あの東日本大震災に端を発した東京電力福島第一原発の事故と、その後の出来事、明らかにされた事、そしてその後のこの国の原発事故被害者に対する対応と仕打ちを忘れません。今も事故は続いており解決されていません。

2012 年 6 月、全国会議員の賛成のもとに成立した「原発事故子ども被災者支援法」は無かったかのごとくにされ、2019年3月末には、「民間賃貸住宅家賃補助終了」「国家公務員住宅居住期限終了」となりました。更に福島県は「区域外避難者の支援終了」を明言することで、政府や避難先自治体の支援打ち切りの理由を作り、今度は仮設住宅の無償提供終了宣言を行いました。

避難者が何故、誰の責任で避難せざるを得ない状況に至ったのでしょうか、住まいは福祉、住まいは人権です。安心して住みつづけられる住まいの権利は平和的生存権の基本です。

避難を継続している人たちには、孤独や孤立に悩み、経済的に困窮している人たちが多くいらっしゃいます。

発事故後、福島県で実施されている小児甲状腺検査をめぐり、2018年3月までに「甲状腺検査サポート事業」で医療費を受給した患者233人のうち、手術後に甲状腺がんではなかった5人を除くすべてが甲状腺がん患者であることが福島県議会の答弁で判明しています。検討委員会のデータと合算すると273人となっています。

にもかかわらず原子力規制委員会は、避難指示区域外のモニタリング・ポスト2,400台を2020年度末までに撤去するとし、空間線量率の変化を直接知る権利すら奪おうとしています。

放射性物質の拡散も進められています。経済産業省や原子力規制委員会は、福島第一原発の敷地内のタンクにためられている1,000兆ベクレルものトリチウムと複数の核種を含むALPS汚染水を、海洋放出しようとしています。環境省は、除染土を全国の公共事業や農地造成などに「再生利用」と称して使う予定でいます。環境省は誰のためにあるのでしょうか。

それほどまでに、2020年東京オリンピックまでには、「原発事故被害は全て収束した」「避難者も帰還できる状況になった」といううわべの姿を作り、見せたいのでしょうか。

誰も責任を取っていない東京電力福島第一原発事故。なかったものとする訳にはいきません。原発事故を直接体験した大人として、私たちは子どもたちとこの国の未来に責任があります。

以下の項目を要請します。

  1. 原発事故避難者の実態把握に基づく支援を行うこと。
  2. 健診の福島県外への拡大、内容の充実、医療費の減免、子どもたちの保養のための措置を行うこと。
  3. モニタリング・ポストを継続設置すること。
  4. ALPS汚染水の放出・汚染土の「再利用」による放射性物質の拡散を行わないこと。