[神奈川県消団連] 人の不幸は地域社会の活性化につながりません。横浜にカジノは要りません

2019年05月09日

神奈川県消費者団体連絡会
横浜市港北区新横浜2-6-13
新横浜ステーションビル9階
電話:045-473-1031 FAX:045-473-9272
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事務局長 丸山 善弘

私たち神奈川県消費者団体連絡会は、本日の2019年度全体会において、カジノ解禁の持つ問題点について学習会をもちました。改めて、問題点として、①全体像が不明確、②「規制」が「世界最高水準といえるのか」、③特定資金貸付業務の採用の問題、④ギャンブル依存症患者増大のおそれ、⑤反社会的勢力の排除が困難であること、⑥マネーロンダリングの危険、⑦刑法で賭博を違法としている趣旨との整合性、等多々の問題点を共有しました。改めてカジノ(賭博場)は要らない、カジノ(賭博場)で地域経済振興させようとする考え方の問題を確認し、参加者の総意で私たちの意見を届けることとしました。

国民多数が反対したカジノIR法(統合型リゾート法)が成立し、横浜を含め全国3か所にカジノがつくられそうだということが報道されています。

統合型リゾートと称しても、収入源はもっぱらカジノのギャンブルであり、他施設はカジノに人を誘導する囲い込みにほかなりません。

カジノは胴元だけもうかり、客からも地域からも奪うだけで、地域社会の発展に寄与するものではありません。アジア各国を見ても、カジノ周辺地域は米国内同様に荒廃しています。ギャンブル依存が増え、生活破綻する当事者や家族が増え、地域は貧困化し、犯罪も増えることが実証されています。

「外国人対象」と説明していますが、アジア諸国が巨大カジノで競い合い、狭い日本のカジノには来ずに、試算でも「日本人が大半」と明かしています。全国のテーマパークの破綻を見ても、カジノIRが持続可能で、日本人がギャンブル依存症に陥ることなく地域と調和し、発展的であるとはとても思えません。

私たち消費者は、「ギャンブルで経済成長や地域活性化」という考え方は受け入れることはできません。

日本では賭博行為は戦前から処罰の対象であり、現行刑法においても第185条・第186条で禁止されています。いわゆる三競オート(競馬・競艇・競輪・オートレース)と宝クジ・スポーツ振興くじ(toto)は公営ギャンブルとしてそれぞれに特別法が定められ監督省庁が存在し、刑法第185条・第186条の対象外となっています。

パチンコ・パチスロ店は「三店方式」という営業形態で刑法に抵触することを回避していますが、市民にとってギャンブルであることに変わりはありません。この上に新たなギャンブル施設を横浜市の肝いりで造る必要はまったくありません。むしろギャンブル依存を生み出す賭博関連施設を減らすべきです。

「横浜市中間4か年計画2010~2020」(原案)に対するパブリックコメントでは、9割以上の市民がカジノIR誘致計画に反対しています。

私たちは身近で、貧しい人がギャンブル依存に陥り、苦しみ、仕事も家族も友人も失い。野宿となり路上死や自死にまで至る姿を見ています。カジノ誘致により、ギャンブル依存の状態になる人が増えることは間違いありません。それを看過する訳にはいきません。

横浜市には、カジノIRを誘致せず、その予算をギャンブル依存の予防や当事者・家族支援の施策に充ててること、またこの社会が抱える生活困難者・貧困者・病者・障がい者・高齢者・子育て世帯等の生活弱者へまなざしを向け、介護・福祉・医療施設の充実に充てることを求めます

繰り返しとなりますが、私たちは消費者として、刑法が禁じる賭博に民間業者が営むカジノという新たな例外を認めようとするものである事、現在も深刻なギャンブル依存の問題を更に悪化させるものである事、反社会的勢力の資金源やマネー・ロンダリングの場として利用されるおそれも排除できない事などから、「経済成長」や「地域活性化」という名目でカジノを求める考え方には同意できません。

消費者は、新たに社会的リスクを増大させるカジノの解禁「ギャンブルで経済成長や地域活性化」という考え方は受け入れません。

人の不幸は地域社会の活性化につながりません。

以下の項目を要請します。

  1. 横浜市はカジノIR誘致を行わないこと。
  2. ギャンブル関連施設を増やさず、ギャンブル依存症の予防や当事者・家族支援を行うこと。
  3. 生活困難者・貧困者・病者・障がい者・高齢者・子育て世帯等の生活弱者へまなざしを向け、介護・福祉・医療施設の充実を行うこと。