21世紀にめざすこと

神奈川県生活協同組合連合会
策定日 2001年6月26日

ビジョン

21世紀は、少子・超高齢社会による「家族様式の大きな変容」とともに、併せて「グローバル(国際化)市場経済の進展」や、情報ネットワーク技術とバイオをはじめとした科学技術の進展」による経済社会構造の激変が想定されています。

一方で、「自立・協同・共生」と「新たな価値の創造」をキーワードに、「くらしの豊かさ」や「心の豊かさ」を基軸とする、平和な地域社会を求める声の高揚も想定されており、地方分権も相まって、これらは、私たちにとって極めて重要な指針といえるでしょう。 たしかに私たちは、厳しい経済社会情勢下にあるかも知れません。

しかし創立以来、「よりよい生活と平和のために」を確固たるものとして掲げ、幾多の未知への遭遇も乗り越えてきたことも事実です。これまでの「量 的でスローガン的」な意味合いから、「質的であり、且つビジョン」として大きく発展させて位 置付け、掲げます。

よりよい生活と平和のために

●ビジョンを実現するための7つの目標と課題

神奈川県における生協運動の現状とこれからの動向、少子・超高齢社会やグローバル化、そしてIT革命や新技術化と言われる21世紀社会の志向をふまえ、「自立・協同・共生」と「新たな価値の創造」をキーワードに、「くらしの豊かさ」や「心の豊かさ」に役立つ事業や運動を通じて、私たちが推進すべき21世紀の生協運動の姿とその展開方向を示します。

1.くらしの願いから協同の力で事業をつくり、《家計の充実》に貢献します

このような目標です

「安心・安全・利用しやすさ」をキーワードに、くらしの願いを実現するために経営基盤を強化します。また、市場経済の行き過ぎに対し牽制的役割を強めます。

課題

  • くらしの変化を敏感に受けとめ対応するとともに、よりよい品質と納得のいく価格を追求します。
  • 組合員の声(要望)を大切にした「品質・提供の仕方・サービス」の向上をすすめ、協同の力で「供給者(提供者)責任」を充分に果 たせる体質づくりと事業構造の改善・経営基盤の確立をすすめます。
  • 地域の要望にあった質の高い保健(医療・予防・福祉)関連サービスの供給を行います。
  • 供給活動を通じて生産者との連携を強め、地域産業に貢献します。

 

2.地域にねざした参加型の《健康なくらしづくり》に貢献します。

このような目標です

「生命・身体・健康は自分のもの=自己主権という立場にたち、一人ひとりを大切にする「健康なくらしづくり」に生き生きと取り組めるよう、生協がその役割を果 たすことをめざします。

課題

  • 「安心・安全」な商品開発と事業、情報発信をすすめ、健康づくりへの支援を強化・拡充します。
  • 医療生協がリーダーシップをとり、「7つの生活習慣と2つの健康指標(血圧・体重)」にもとづき、協同組合間や地域諸団体との連携で、地域社会まるごと健康づくりをめざします。
  • 将来を担う子どもたちの健やかな生活のために、運動と事業をとおして「食生活」と「食文化」のあり方を追求します。
  • 社会保障の拡充・強化と、地域にねざした地域医療政策づくりのために、国や行政及び自治体への働きかけを積極的に展開していきます。

 

3.おもいやり、たすけあい、ささえあいの《地域福祉の向上》に貢献します。

このような目標です

地域での〈たすけあい〉〈ささえあい〉がますます重要になってきます営利団体が参入する中で、非営利団体だからこそできる運動と事業をさらにすすめる必要があります。協同組合間でこれまでに蓄積された人的資源や物的資源を出し合い、共有しながら地域におけるノーマライゼーションを築く一翼を担うことをめざします。

課題

  • 協同組合間及び諸団体との連携、そして行政や自治体との明確な役割分担をはかり、ホームヘルプサービスを中心とした在宅福祉サービスのネットワークづくりをすすめます。
  • ハートビル法適用施設やわかりやすく利用しやすい商品づくり、サービスの開発をすすめます。
  • 高齢者や障害者の活動の場づくりや健康づくり、そして働きがいへの支援をすすめます。
  • 参加型の地域福祉コミュニティづくりに向けて、ボランティア活動やワーカーズへの支援をすすめ、地域のコーディネーターとしての役割発揮をめざします。

 

4.人と自然を大切にする《地域環境の保全》に貢献します。

このような目標です

環境問題を自らのこととして捉え、環境に配慮した行動に転換しながら、環境保全の推進と循環型の快適な地域環境づくりを積極的に担っていくことをめざします。

課題

  • 事業と運動を通じて環境に配慮した暮し方を支援します。
  • 環境に配慮した商品開発・普及をすすめ「環境保全を重視したくらし」への貢献をすすめます。
  • 事業活動から生ずる環境負荷を低減し、事業の発展と事業者としての社会的責任を果 たすため、リサイクルやごみの資源化をはじめ、組織としての「環境管理システム」の構築をすすめます。
  • 行政や自治体、事業者、生活者(=消費者)の役割分担を明確にし、互いの連携やネットワークによる環境問題の対策に積極的に参画します。

 

5.生産と、消費、雇用のバランスのとれた《地域経済の発展》に貢献します。

このような目標です

地域経済の活性化はくらしの安定につながります。地域産業や地域農林水畜産物を大切にした魅力ある産業の創出と、生産と消費のバランスのとれた地域経済の振興に大きく寄与できる生協をめざします。

課題

  • くらし、産業、経済活動がしっかり機能していく「まちづくり」をめざして、諸団体との連携づくりに積極的に参加します。
  • 協同組合提携推進協議会に積極的に参画し、県内産農林水畜産物の生産と消費拡大をはじめ、「すみよい神奈川づくり」基本計画を推進します。
  • 地域経済振興の観点から県内生産物の開発・育成や市場流通問題等の、地域における連携を積極的にすすめます。

 

6.国際的協調のもとに、《平和な社会実現と国際交流のひろがり》に貢献します。

このような目標です

国の違いを超えて、出会い、ふれあい、理解し合うことから国際交流をすすめ、特にアジア地域における平和と連帯の取り組みをすすめます。

課題

  • 核兵器や基地もない、平和を願う多様な取り組みを地域にねざして推進します。
  • 国際交流(支援)活動を進める諸団体、NGO及びNPOとのネットワークづくりをすすめます。
  • くらしの場からの国際交流や事業を通じて、アジア地域への生活自立に向けた連帯活動(支援)を推進します。

 

7.くらしの願いを実現するために、地域に開かれた信頼される生協をめざします。

このような目標です

信頼しあい、協力しあっていつまでも安心して過ごせる地域社会は私たちの願いです。そのためには事業改革のみならず、地域に開かれた組織・運営改革が求められるところです。そして、「地域やくらしの願いのなかにある生協」をめざして邁進しなければなりません。そのための運動と事業強化に取り組みます。

課題

  • 「自立・協同・共生」と「新たな価値の創造」を基軸に、組合員参加を強め「事業と組織の運営改革」や「経営基盤の強化」をすすめます。
  • 「職員が専門性を発揮し、いきいきと働く」活気ある組織づくりをすすめます。
  • IT革命といわれる情報ネットワーク技術の高度化を活用し、運動と事業の強化をすすめます。
  • 協同組合原則のもとに思想・信条の自由を遵守し、くらしの願いを実現するための社会的課題に取り組みます。
  • 「個人の尊厳=人権の尊重」をもとに、男女共同参画社会の実現をめざした具体的施策の推進や「子どもが健やかに育つ地域づくり」への支援をすすめます。
  • 会員生協の発展と異種生協間の相互協力を基盤に、県域を超えた連帯活動をすすめます。

 

●行動の基本

1995年9月のICA総会で採択された、協同組合は自助、自己責任、民主主義、平等、公正、そして連帯の価値を基礎とする。それぞれの創設者の伝統を受け継ぎ、協同組合の組合員は、誠実、公開、社会的責任、そして他人への配慮という倫理的価値を信条とし、行動の基本とする。

●21世紀にめざすビジョンをすすめていくための、県生協連として果たすべき役割

神奈川県生協連の果 たすべき役割については、1990年2月に答申された「県連の役割」検討チーム答申により、

  • 指導・調整の役割
  • 単協間連帯の促進の役割
  • 統一運動課題推進の役割
  • 他団体との提携・協同推進の役割
  • 行政・議会等への渉外活動推進の役割

上記の5つに規定され、今日に至っています。そしてこの間、各生協が共に手を携え県生協連にまとまって、着実にしかも幾多の実績を蓄積しながら21世紀を迎えました。 厳しい岐路に立たされ、その存在意義が問われている中で、県内の生協が「自立と協同の原則」に基づき、より一層連帯を強めていくことが前世紀にも増して求められていることは言うまでもありません。勿論、県生協連も安住は許されませんし、経済社会構造の大激変に耐えられるように、生き残りをかけた必死の決意が求められるところです。 これらを踏まえ、21世紀の県生協連は、その果たすべき役割について、何よりも「会員生協の発展」のために、尽力することを掲げます。

1 会員生協の発展のための支援をすすめます。

  • 政策指導・連絡調整力を発揮し、赤字を出さない経営体質など経営の健全化をはかるための支援をすすめます。
  • 情報技術などを活用し、的確で迅速な情報収集、情報提供で地域のくらしの変化や声を、会員生協に発信します。
  • 協同組合間提携を基軸に、非営利の「参加型福祉」システムの構築をめざします。

2 会員生協の発展のための交流・連帯をすすめます。

  • 地域生協間、職域生協間、医療生協間、大学生協間をはじめ、異種生協間の交流・連帯をすすめます。
  • 消費者の権利確立のために、幅ひろい市民運動(NGO、NPO含む)や諸団体との相互交流をすすめ、くらしの願いの各課題(分野)ごとにネットワークづくりをすすめます。
  • 協同組合間提携の組織と運営の拡充・強化をすすめ、「すみよい神奈川づくり」を具体化します。

3 行政・議会等との新しい関係づくりをすすめ、「行動の基本」をもとに、その役割を発揮します。

  • 協同組合原則のもとに、思想・信条の自由を遵守し、くらしの願いを実現するために国会や県行政及び県議会、そして政令指定都市との新しい関係づくりにつとめます。
  • 地域における生協間連帯の拡充・強化をはかり、各自治体におけるネットワークづくりへの支援をすすめます。
  • 組合員の願いを実現するために、地域の幅ひろい諸団体とのネットワークづくりへの支援をすすめます。