[神奈川県消団連] 機銃による市民への威嚇行動に抗議します
神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 小林 正明
この5月12日横須賀港において、米海軍の原子力空母ロナルド・レーガンの出港を監視していた市民団体「ヨコスカ平和船団」のモーターボート「コスモアイランダース」に米軍の警備艇が接近し、機銃を設置した船首をモーターボートに向け、ヘルメットに防弾チョッキ姿の兵士は、機銃に手をかけて約4分間監視したと報道されました。米軍は、新聞社の取材に対して、「同基地憲兵隊の警備艇は、出港する空母を安全に護衛しており、米海軍の艦船が出入港する際に行う通常の運用」と回答しています。
横須賀港は日米地位協定の2条(施設・および区域の使用許可)3条(施設および区域内での管理)で米軍に提供された海域です。しかし管理権は横須賀市にあり、横須賀港において米軍の排他的管理権が認められている訳ではありません。港則法などに基づいて管理しているのは横須賀市の意を受けた海上保安庁です。従って海上デモの許可申請は海上保安庁に出しています。今回米軍による威嚇があった海域は制限水域内ですが、横須賀市が管理する港湾の独占的な使用を、米海軍が認められている訳ではなく、市民は日本の国内法の保護のもと、合法的に船を出すことができる海域です。停船しない限りモーターボートは自由に航行できる海域です。
これまでも何回か、米海軍警備艇は、平和船団のボートに体当たりしたり、すぐそばを高速で走り抜けてヨットを揺らしてワイヤーを切断したり、木銃を構えた兵士を多数載せたボートで平和船団のボートを追跡したことはありました。しかし、実弾を込めているであろう機銃を見せつけ、4分間も威嚇し続けたのは初めてのことです。
これまでの事例を見ても、2004年10月31日の米軍警備艇によるヨットのワイヤー切断事件の際には、横須賀基地の当直指令は横須賀市長が港湾管理者であり、軍港はその一部、市民はその中に自由に立ち入るかとができる、と認めています。また、2016年4月28日の放射性廃棄物の搬出抗議海上デモで米軍のテロ対策訓練ボートが平和船団を追いかけてきた事例に対して当時の吉田横須賀市長は「市民の合法的な活動に対して威嚇があればそれは不当だと認識しています」と議会で答弁し、横須賀市の基地対策課は「市民の行動が妨げられることはあってはならない」としています。
今回の米軍の威嚇行動は横須賀市の管理権を侵害するものであり、また横須賀港から市民を排除しようとする不当なものです。市民の合法的な活動に対して銃による威嚇がされることがあってはなりません。